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Case 25

■ プラスチックか骨かその他か!?

プラスチックのようだけれども・・・

先日、骨とプラスチックの分析方法についてお問合せがありましたので、
そのお話をしたいと思います。

ハンバーグやトンカツやハムから出てくる異物の中には、
プラスチックや石のようなものというのが多いです。

 ← こういうの。

光沢もあって、とても硬くて、変な形をしていて。
確かに、見た目は、プラスチックや石のようなんですよね。





プラスチックなのか骨なのか?
異物がプラスチックなのかなのかその他の物質なのかを調べるために、
ひとまず簡易試験を行います。

硬さを調べよう
まずはスライス!

プラスチックは、薄~い切片にすることが可能です。

のようなものは中々スライスできません。

スライスした切片を顕微鏡で見てみよう
スライスした切片を顕微鏡で見てみます。

プラスチックにはスライスした時の刃物由来のキズ跡とか樹脂特有の顕微鏡像といったものが観察されます。

は、骨細胞という骨特有の細胞が見えます。
←骨細胞

ちなみに、軟骨には、軟骨細胞っていう軟骨特有の細胞が見えます。
←軟骨細胞

スライスした切片を燃やしてみよう
次に燃焼させてみます。

プラスチックの多くは熱に弱いので、直火で燃やすと熔けたり変形したり、表面がザラザラになったり、何らかの変化が起こります。この時、樹脂特有の臭いがします。煙の色も、樹脂の種類によって変わります。

軟骨はタンパク質を含んでいるので、炭化して黒い炭になります。この時、お肉が焼けるイイ臭いがします。(笑)

試薬を加えてみよう
次に試薬を加えてみます。

プラスチックは種類によって試薬溶解性が変わります。

はリン酸三カルシウムを含むので、希塩酸を加えると泡がたくさん出てきます。あとは、タンパク質に反応する試薬を加えて、色が変化するかどうかを観察します。
 ← 骨に塩酸を加えたところ。

軟骨は希塩酸で泡が出てきません。軟らかくなったり、白くなったりしますけど。あとは、タンパク質に反応する試薬を加えて、色が変化するかどうかを観察します。



こういう簡易試験をすることで、プラスチックなのかなのかその他の物質なのかを簡易的に判断することができます。
骨や軟骨は、特有の細胞があるから分かり易いんです。





もっと詳しく!
さらに詳しく調べて欲しいという場合は、FT-IRっていう成分を分析する装置やEPMAっていう元素を分析する装置などの機器分析類を使って調べることもできます。

FT-IRという装置では何がわかるの?
FT-IR (フーリエ変換赤外分光光度計)は、化合物を測定する装置です。
簡単に言うと・・・赤外線を当てることで分子が赤外線を吸収して振動することを利用した方法です。この装置を用いることで、異物がどういう分子構造を持っているかがわかるんで、化合物名を推定することができるんですけど・・・簡単に言いすぎですか(笑)
まぁでも、分析屋以外の人にとっては、原理よりも何がわかるかという方が大事ですよね。

プラスチックの場合は、プラスチックの名前・・・ポリプロピレンとかポリエチレンとか・・・がわかります。

の場合は、タンパク質とリン酸三カルシウムを含んでいることがわかります。

軟骨の場合は、タンパク質を含んでいることがわかります。

の場合は、んー分かりづらいです。

EPMAという装置では何がわかるの?
EPMA (X線マイクロアナライザ)は、元素を測定する装置です。
簡単に言うと・・・電子線を当てることで、元素によって特性X線っていうのが出てくることを利用した方法です。その特性X線を調べることで、中に含まれる元素がわかるんですけど・・・これも簡単に言いすぎですか(笑)

プラスチックの場合は、炭素(C)とか酸素(O)とかが出てくるんですけど、この方法ではプラスチックの名前はわからないです。

の場合は、炭素(C)とか酸素(O)とかの他に、骨に多く含まれるリン(P)やカルシウム(Ca)が多く出てくるんで、骨の可能性が高くなります。

軟骨の場合は、んー分かりづらいです。

の場合は、石に多く含まれるケイ素(Si)とかその他もろもろの元素が出てきます。





簡易試験のススメ
今回の場合では、A~Dの簡易試験で骨の可能性が高くなったら、そこで分析を終了することをオススメしています。骨細胞が認められたものでプラスチックだったことはないし、日数がかかればその分だけ消費者の方に不安を呼び起こさせるからです。分析料金も倍以上になっちゃうし、そのお金を “骨が入らないようにする対策費用” に使って欲しいと思うんですよね。
あ、でも、骨以外の物質だった場合には別ですけど・・。



アナログテストの重要性
分析機器を使うと色々と情報が得られますし、機器で調べないと分からないことも多いんですけど、1つの機器ですべてわかるかっていうとそうじゃないんですよね~。それが異物検査の難しいところです。
その上、いくつかの分析機器を使ったら100%確実に分かるかというと、決してそうじゃなかったりします。異物は食品や水などに接していることが多く、色んなものが混ざり合って純粋じゃないことが多いので、分析装置によっては逆に分かりづらくなることもあったりすることもあるんです。
ですから、分析装置を使うかどうかは燃焼試験や顕微鏡観察をちゃんとやって判断した上で選択する必要があると思っています。
燃焼試験や顕微鏡観察のデータって、なかなか侮れないんですよね。


肉の加工品から出てくる異物
ハンバーグ、ミートボール、ハム、ベーコン、肉の惣菜類などの 「肉の加工品」 から出てくる異物には、骨や軟骨が非常に多いです。一見して骨だと分かるようなものもありますが、見た目では骨だとわからないものもあります。
特に軟骨はやっかいです。本来は歯で噛み切ることができる硬さの軟骨ですが、乾燥すると非常に硬くなり、半透明になることもあるため、見た目ではプラスチックや接着剤が乾燥したものに見えてしまいます。そのため、検査データをお出しした際、 「自分が出した異物とは違うものを提出し、検査を依頼したに違いない」 などと、消費者様が納得されない場合もありますが、ここでぜひご利用していただきたいのが、返却検体です (軟骨は水に浸すと軟らかくなるという性質を持っていますが、これは、プラスチックとは異なる性質ですから、お客様への説明に有効であろうと思っています) 。
当社では、お客様へのご説明に利用していただくことができるよう、検体が少しでも返却できるような検査を心がけていますので、お困りのことがございましたら、ぜひお問合せください。





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