魚を焼いたらカビが出てきた!?
お魚を焼くと、焼く前には何も無かったのに、緑色や灰黒色のカビのような斑点が出てくることがあります。
家で作っていたのならまだしも、お店や食堂で緑色の斑点があるお魚が出てきたら、ギョッとしますよね。
見た目はとても気持ち悪いですけれど、実はこれ、ある意味 「自然現象」 と言えなくもないのです。
<緑変現象> ここまで緑色になることもあります。
この緑変部分をとり、鉄が含まれていると青く変化する反応試験を行うと、見事に青色になります。
そのため、鉄が関係しているのは明らかです。
<鉄の簡易定性試験> 鉄が含まれていると青く変化します。
緑色の原因物質は 「硫化鉄」。
硫化鉄というのは、硫黄と鉄が加熱によって反応したもので、暗緑色~灰黒色をしている物質です。
じゃぁ、どこから硫黄や鉄が出てきたの? ・・・っていう疑問が浮かびますよね。
硫黄
- 硫黄はタンパク質から出てきます。だから、お魚そのものが持っている物質と言っていいでしょう。
鉄
- 鉄は、お魚を焼いたグリルや鉄板などの鉄製品から出てきたものです。
どうして鉄が付着するの?
「鉄が魚に付着するなんて、よほど汚れた鉄板を使ってるのかしら?」
なんて思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
でもそれは違うのです。
この現象は、キレイに磨かれた鉄板を使った場合に多く出てくるという、困った現象なのです。
鉄板を磨けば磨くほど、表面が傷ついちゃいますよね。
その上に魚を載せて焼いてしまうと、目に見えないほどの小さな鉄粉がお魚の表面に付き、
加熱しているときに化学反応が生じて、緑色の斑点状になってしまうのです。
だからこの現象は、魚の片面 (鉄板に接している面) だけに現れることがとても多いのです。
つまり、よく掃除して、鉄板を磨いている 「しっかりとした」 お店でよく出てくる現象なんですよね。
一生懸命掃除したのに、異物騒ぎになってしまっては、報われませんよね。
予防対策
「この現象を少なくするためには、鉄板を洗わなければいいの?」
・・・という疑問が出てきそうですが、いえいえ、そんなことはありません。
鉄板を洗わないと、鉄板の上に溜まったコゲなどが異物となってしまいますから、よく洗ってくださいね。
そのかわり、この現象を少なくするためには、お魚を鉄板に直接載せないようにするのが一番です。
クッキングシートとかアルミホイルなどを利用すると良いでしょう。
食べても大丈夫?
ところでこの硫化鉄、それ自体に毒性は少ないので、少しなら食べても大丈夫です。
でも、酸で分解される時に、毒性のある硫化水素が出てきちゃいますので、たくさんの緑班、黒斑が見えるものは食べないほうがいいかもしれません。それは、コゲをあまり食べないほうが良い、というのと同じレベルの話です。
まあ、緑色の斑点がたくさんある魚は、気持ち悪くて食べられませんよね。
他の食材でも同じ現象が起こります
ちなみにこの現象、焼き魚だけじゃなくて、タンパク質が多く含まれている他の食品でも同じ現象が起きます。ベーコンやハム、ソーセージなどの肉製品で多く、同じ原理で緑色~灰黒色になります。
この硫化鉄の現象は、高タンパク食材の「卵」では有名な話です。
ただ、卵の場合は 「鉄の由来」 が異なりますので、その話はまた後日。
尚、餃子やシュウマイなどの、一見、高タンパクではない製品でも、この現象が見られる場合があります。
どんな加工食品でも起こりうるので、困った現象なのです。
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